アイスクリームメーカーを作る(1)

5月も半ばを過ぎてすっかり初夏の装いになりました。
アイスを食べる機会も増えてきたのですが、先日机の中を掃除していたところペルティエ素子が出てきたのでアイスクリームメーカーを自作しようと考えました。

しかしアイスクリームメーカーは普通に市販されていてAmazonで3000円程度から購入できます。単純にアイスを作るだけなら市販品を買った方が安く上がるでしょう。
市販されているアイスメーカーをまとめると以下の表になります。
(数千円で購入できるモデルに限る)

私が欲しいのはトレー型の予冷が不要なモデルなのですが販売されていませんでした。この種類のアイスメーカーが欲しい理由を説明します。

・食べ終わった後に洗って片付けるのはトレー型の方が簡単
 ボウル型は撹拌機がついているのでその部分も洗う必要がある
・ロールアイスが作れる
・冷凍庫に入れて待つくらいならコンビニに行く。ちなみに予冷が不要なタイプでも アイスが出来上がるまで2-3時間程度はかかる

一度はAmazonでの購入を検討していましたがやはり不用品の処分も兼ねてアイスメーカーを自作します。

材料
画像の左から順に
・CPUグリス MX-4
・ペルチェ素子 12V 6A 二枚
・CPUクーラー 
・アルミタッパー
・24V電源

装置の概要

上の図のような装置を作ります。アルミタッパーの下にペルティエ素子を2枚重ねて冷却します。ペルティエ素子の高温側はヒートシンクに接触させます。ペルティエ素子が結露したり、高温側の熱が伝わるのを防ぐために発砲スチロールで断熱します。
熱伝導を良くするためにヒートシンクとペルティエ素子とタッパーの間にCPUグリスを塗ります。

とりあえず仮配線で動かしてみます。うまく動作出来れば筐体を用意します。
電源を入れます。しかし・・・

まったくと言うほど冷えません。ヒートシンクを触っても熱くなっておらず、CPUグリスの塗布も問題なさそうなので、排熱や熱移動は問題なく行われているはずです。
不思議に思いながらもしばらく様子をみていると24V電源から変な音がしていることに気が付きました。手で触ると尋常ではない熱さになっていました。

原因は電源の容量不足でした。12Vの6Aのペルティエ素子を直列に2枚つけたので
12×2=24V 6Aは最低でも必要でした。家に転がっていたものを確認せずに使ったのは失敗でした。他の電源を接続することにします。

~15V・5Aと書かれているようにこの電源も容量が足りていないはずなのですが、なぜかこの電源ではそこそこ冷えます。

ご覧の通り8.2℃まで下がりました。この時は12Vでした。電源に異常な発熱も見られませんし、ヒートシンクも発熱していません。高い電圧をかけるより電流をたくさん流すほうが良いのでしょうか?混乱してきたので今更ながらデータシートを確認しました。
TEC1-12706のデータシート

Th:発熱側の温度 Delta T:発熱側と吸熱側の温度差 Q:吸熱量  です。

ヒートシンクがほぼ室温だったのでTh=25℃のグラフを見ると12Vのときに5A程度、
6Vのときに2.5A程度流れると書いてあります。低電圧のときは流れる電流も少ないので電源がパンクせずに済んだことが判明しました。
この表から読み取れたことは以下です。
1.電圧と電流が比例
2.発熱側の温度と電流が反比例
3.吸熱側ー発熱側の温度差と電流が比例
流れる電流が様々な要因で変化することが分かります。(3)吸熱側をキンキンに冷やすには電流を多く流す必要があるので(1)電圧を上げる必要がありますが、(2)発熱側の温度が上がると電流値が下がってしまうので発熱側の冷却がカギを握っています。
勉強の為にペルティエ素子を扱う他のブログや知恵袋を覗いたのですが最適な構成を見つけるのに苦労されているようでした。ペルティエ素子を重ねる場合は上側の1枚を低電圧で駆動し、下側の1枚を高電圧で駆動すると上側の素子の発熱側を良好に冷やしてくれるので良いという意見もありました。

この意見を採用するとそれぞれの素子に異なる電圧をかける必要から
・12V20A電源が1台
・降圧DC-DCコンバーターが2台
必要になります。なるべく安く仕上げるために12V10Aの電源を2台購入することにしました。今度の電源は容量に余裕がありますし、可変電圧ではないものの微調整機能がついているので10-14Vの範囲で変化させることが可能です。ちなみにこのペルティエ素子は12V用と謳われていますが実際は16.4Vまで印加できるそうです。
新しい電源が届いたら再チャレンジします。

次回:アイスクリームメーカーを作る(2)


直流安定化電源 AC DC 12V

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です