ネットに見る転売の実態【マスク/養生テープ/食べるラー油】

目次
プロから素人へ
規制しても抜け穴はある
タイミングを逸すると大量の在庫を抱える
最近の転売例(食べるラー油・養生テープ・マスク)

世の中で何かが流行したり、不安が高まると買占めや転売がしばしば発生します。
昭和のオイルショックの時にはトイレットペーパーや石油由来の商品が買い占められ、東日本大震災の時にはあらゆる生活必需品が買い占めの対象になりました。これら2つの現象は周りが一種のパニックに陥る中で自分の必要を賄う為に行われた行動ですが、最近の買占めには高額で転売することを期待して行うケースが多々見られます。この記事では最近起こった買占め・転売騒動の実態を取り上げていきます。

プロから素人へ

大きな需要が見込める商品をまだ安いうちに大量に購入して高値で転売することは今に始まったわけではありません。しかしヤフオクやAmazon位しかなかった販売経路が、メルカリを筆頭とするフリマアプリが普及したことによって主婦や普通のサラリーマンがより簡単に参入できるようになり、「プロの転売屋」以外にも「素人の転売屋」が多く発生するようになりました。
 「プロの転売屋」は落札価格を監視するツールを持っていることは勿論、同じ業者同士の横の繋がりもある為 何が売れるのか一般人よりも素早く察知することが出来ます。一方で「素人の転売屋」は副業としてお小遣い感覚でやる人が多く、SNSや口コミ上で話題になり始めてから行動を開始するケースが殆どです。
 その結果プロと素人では出品するタイミングや価格に大きな差が生まれます。プロはトレンドが発生した初期の段階で安値で入荷し、それ程高くない価格で販売します。強気の価格設定をしない理由はトレンドが一過性で終わる事が多く、売れるタイミングを逃すと大量の在庫を抱えてしまうことを熟知しているからです。一方で素人の場合は仕入れるタイミングが遅いので底値で購入出来ず、ある程度値上がりしてから購入に至る場合があります。そしてもともとの仕入れ値が高いことと、価格設定の「塩梅」が分からないのでより高く値段を設定する傾向があります。そしてその値段で落札されるのを見た他の転売屋が少し高いくらいの値段で出品し、結果的に価格が高騰していきます。

素人は相場が分からないのでドン引きするような値段を設定してしまう

規制しても抜け穴はある

転売品を出品される側も手をこまねいているわけではなく、法外な値段で転売しようとするアカウントを凍結したり出品を取り消したり一応対策は講じています。しかしどんなサービスにも抜け穴が存在します。例えばAmazonで転売する場合は商品の価格は抑えて、代わりに送料を高額に設定することで規制の対象から逃れることが出来ます。皆さんもマーケットプレイスで商品を探しているときに異常に安いけれど、送料が高いのでトータルでは他の業者と変わらない価格設定になっている商品を見かけたことがあるでしょう。

タイミングを逸すると大量の在庫を抱える

ここまで記事を読んで「私も転売したい!」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし転売はノーリスクハイリターンな商売ではないことを留意するべきです。

あるネット通販会社は鳥インフルエンザ(2005年に東南アジアで流行、2014年には韓国で混乱が生じた)が流行した際に大量のマスクを仕入れて転売を試みたのですが、当初は6000万円ほどの売り上げが発生したものの、途中でトレンドが沈静化してしまい最終的には6000万円分の不良在庫を抱え込む事態になりました。その不良在庫を消化するのに5年かかったそうです。その苦い経験から今回の新型肺炎ではマスクは仕入れることはしませんでした。ソースはこちら

ここに記載した失敗談は素人の転売屋ではなく「プロの転売屋」です。ネット通販会社を営んでいる経験豊かな方でもトレンドを見誤り損失を抱えてしまうことがあることが学べる例になります。

最近の転売例

記事の終わりにここ数年に起きた転売例をご紹介します。必要に迫られて購入するものだけでなく嗜好品も高額転売されています。

2009年:食べるラー油

桃屋/辛そうで辛くない少し辛いラー油110g

食べるラー油が転売の対象になっていたことをご存じない方が殆どでしょう。 皆さんも一度は食べたことがあると思いますがニンニクのスライスを揚げたてラー油に付け込んだものです。 この食品がブームが発生していた当時は高額で転売されていた模様です。2009年の8月に桃屋から発売され、その後口コミで話題となりブームが発生。2010年の初めあたりまで品薄が続いていました。業務スーパーや流通センターで買占めてそれをヤフオクやAmazonに流す人が一定数存在していたそうです。その後はメーカーの増産体制が整ったのと、他社からも類似商品が発売されたことによって品薄状態が解消されて転売屋は姿を消しました。
食べるラー油の転売については私は嫌悪感は抱きません。他の2つと違い嗜好品だからです。

2019年:養生用ガムテープ

スリオンテック No.3489 養生用マスキングカットライトテープ 50×25 [マスキングテープ]

2019年の台風19号が接近した際に買い占められたのが、「養生用テープ」つまり塗装をするときのマスキングに良く使う緑色のガムテープです。通常のガムテープは粘着力が強すぎて剥がす際にちぎれたり糊が残ったりと後始末にこまるのですが、こちらの養生用テープは適度な粘着力で跡を残さず簡単に剥がせる特徴を持ちます。
台風が接近している時にマスコミよりテープを窓に貼って万が一物が当たっても飛散しないように繰り返しアナウンスされていましたから、これに影響されて購入した方が多かったのでしょう。
ここ数年異常気象による水害が多く発生し、広島で大規模な水害が発生していたので危機感を持たされたのかもしれません。
主な転売ルートとしては最初はホームセンターからテープを入荷し、ホームセンターの在庫が底を払ったらモノタロウなど工場用通販サイトから仕入れていた模様です。そして仕入れた商品をメルカリで転売していました。
通常は200円位で買えるものを1000円程度で転売していたそうです。
養生テープ、メルカリで「転売」も ホームセンターで「過去に例ない」品薄

2020年:マスク

これについては皆さんも良くご存じでしょう。新型コロナウイルスの流行によりマスクの需要が爆発的に増え、これを見越した買占め、転売によって価格が高騰しています。政府がマスクの増産体制が整ったことを発表したことにより、今後は沈静化するのではないかと言われていますがいまだに1枚あたり数百円の単価で出品されています。ちなみにヤフオクでは1000枚入りのマスクが25万円で落札されたケースもありました。
ライブドアニュース
マスクの高騰は落ち着くのかもしれませんが、中国の工場が軒並み操業停止に追い込まれている現状から、今後はさまざまな品が不足するのではないかという懸念も生じています。

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