ムーアの法則はスマホに通用するのか

皆さんはムーアの法則をご存じでしょうか?
インテルの創業者ゴートン・ムーアが提唱した法則で、乱暴に言ってしまうと「CPUは18カ月ごとに倍の性能のものが開発される」というものです。この法則は1965年に提唱されたものですが現在でもこの法則は概ね通用します。下の表より70年代のCPUから現代のCore i7まで直線に並んでいるのが見て取れます。

この法則が現在に至るまで破られない理由は、IntelやAMDが新製品を開発する際の指標として利用しているからだという意見があります。ライバルが数年後にどのくらいのスペックのCPUを開発するのか予想するのにこの法則を利用し、実際に同じくらいのCPUを発売するので結果として法則が成立します。
つまり技術的な要因だけでなく販売戦略の結果としてこの法則は成り立っています。

スマホのCPUにも成り立つの?

大抵のパソコンには目立つところに搭載しているCPUのシールが貼られていますが、スマホ業界では搭載しているCPUをそれほど派手にアピールすることはありません。むしろカメラ機能や画面の繊細さなどをアピールする傾向があります。そしてCPUを供給しているメーカーの環境も異なります。パソコン用はIntelとAMDの2社で寡占していますが、スマホにおいてはQualcomm、MediaTekの他に何社かは内製のCPUを採用している状況です。
そんなCPU自体への関心が低く、様々なメーカーのものが流通している状況でもムーアの法則が成り立つのか疑問に思ったので調べてみました。

調べ方

パソコンとは事情が異なりCPU単体でのスコアは見つけられませんでしたので、同じCPUを搭載したスマホの平均値をCPUスコアとします。そして同じCPUのスマホの中で一番古い機種の発売日をCPUの発売時期とします。
AnTuTuを利用して代表的なスマホのベンチマークを調査しました。
こちらのサイトを参考にさせて頂きました。実機AnTuTuベンチマークスコアまとめ[2019/6/25更新]
集計したCPU機種は以下です。ハイエンド機種に搭載されるCPUを選びました。
・Apple Aシリーズ
・HUAWEI Kirin 9xx シリーズ
・MediaTek MT81xx シリーズ
・SAMUSUNG Exynosシリーズ
・Qualcomm Snapdragon 8xx シリーズ

結果はこちらです。楕円の部分の機種がスコアの平均よりも低いのはミドルレンジの機種だからです。今回はハイエンド機種で比較するため除外しました。
青線がスコアの平均、オレンジの曲線がムーアの法則に基づいたスコアです。

グラフを見るとApple A11(iPhone8,Xに搭載)が発売されたあたりからムーアの法則とCPUの平均が乖離しているように見受けられます。但し一時的に各社がCPUの開発ペースを緩めているだけなのか、それともこのまま差が広がっていくのか現時点では何とも言えません。
結論は「現時点でムーアの法則と乖離が生じていており将来的に当てはまらなくなるかもしれない」といたします。勿論この調査は素人が適当に調べたものなので真に受けないでくださいね。

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