リチウムバッテリーをセルから組む

E-Bike(電動アシスト自転車)用にバッテリーを製作しました。
自分で組むよりも市販されているバッテリーを購入した方がコスパは良いのですが、ちょうど欲しかった容量のバッテリーがどこにも販売されていなかったので自作することになりました。
製作したバッテリーは以下のスペックです。

電圧:36V
容量:4.5Ah
連続放電電流:20A
正極材の種類:LiFePo4
重量:1.5Kg

製作過程は動画にしたのでそちらをご覧下さい。
ブログでは製作過程には触れずにリチウム電池の特徴についてもう少し詳しく取り上げます。

実は奥が深いリチウム電池の世界

スマホの電池はリチウム、ドローンやラジコンの電池もリチウム、そしてボタン型のリチウム電池も存在します。
ありとあらゆるところにリチウム電池は使われていますが種類により大きく性質が異なります。
ボタン電池は使い切りで、放電し終わると充電できず廃棄することになる「一次電池」と呼ばれるタイプですが、スマホやドローン用には繰り返し使える「二次電池」に分類されます。
すべての種類を網羅すると膨大な量になるのでここでは二次電池に限って紹介します。

ドローンやラジコンのバッテリーは数十分でなくなるのに、スマホはどんなに激しい使い方をしても数時間はもちます。ではスマホのバッテリーをラジコンに流用したら数十分で使い切れるのでしょうか?
結論から言うとスマホ用バッテリーはCレートが低いのでラジコンに流用することは出来ません。

Cレート:どれだけ激しく放電できるか

バッテリーにはCレートという値が定められていて、Cレートの大きなバッテリーはそれだけ大電流を流すことが出来ます。
スマホの消費電力は多く見積もっても5W位でしょう。5V x 1A出力のショボいUSB充電器でも使用しながら充電することが出来てしまうからです。バッテリーから流れる電流は数百mA程度です。
一方でドローンやラジコンは状況によっては数十Aの電流が流れます。
よってスマホ用にはCレートの低いバッテリー、ラジコン用にはCレートが高いバッテリーが搭載されます。
スマホに高Cレートのバッテリーを搭載しても問題なく動作しますが、ラジコンに低Cレートのバッテリーを付けると必要な分の電力が供給されず動かない恐れがあります。
同じ容量のバッテリーどうしを比較した場合、電流を多く流した方が早く空になります。ですからドローンやラジコンのバッテリーは短時間で空になります。

負荷に見合ったバッテリーを探すには

バッテリーが出せる最大の電流値は以下のように計算します。

Cレート x 容量(Ah)=最大放電電流(A)
負荷の消費電力(W)÷電圧(V)=必要な電流(A)

必要な電流<最大放電電流 となるバッテリーを探します。
電流値はある程度余裕を見ておいた方が良いでしょう。
最大放電電流は、瞬間放電電流と連続放電電流 の2種類が記載されていることが多いです。

Li-ion, LiPo, LiFeの違い

これらの3種類のバッテリーの違いは正極材の違いなのですが、広い意味でLiPoはLi-ionの一種と見做せます。Li-ionの電解液が液体で出来ているのに対して、ポリマー(ゲル状の物質)にしみ込ませて半固体化したものがLiPoなので正極材は2つとも同じ物質を使用しているからです。電解液がゲル状になることにより液漏れのリスクが無く、薄くて柔らかい形状のバッテリーが作れるメリットがあります。スマホやタブレットのような薄い電子機器に良く使われています。

一方でLiFe(リン酸鉄リチウムバッテリー)は上記の2つとは異なる正極材を使用しています。Li-ionやLiPoには正極材としてコバルトなどが使用されるのに対してLiFeにはリン酸鉄リチウムが使用されます。この機種は安全性が高いのが特徴です。私は試したことがありませんがバッテリーセルに釘を刺しても発火しないそうです。そして充電サイクル回数(バッテリーの寿命)が長く,機種によっては2000回程度の繰り返し充電に堪えることが出来ます。

欠点は上の2つと比較して高価でエネルギー密度が低いことです。エネルギー密度とは「バッテリー1kg当たりの容量(Wh)」を表します。例えば24V 10Ahのバッテリーの重さが2kgだったとすると…24×10÷2=120wh/kg となります。

このエネルギー密度がLiFeは低いので、同程度の容量のLi-ionと比べると重くなります。
更に定格電圧が3.2Vとなっていて上記のバッテリーの3.6Vに対して低いことも相まって、36Vや48Vのような高電圧のバッテリーを作る時にはより多くのセルを繋ぐ必要がある為、出来上がったバッテリーパックは一回り大きくなってしまいます。

各バッテリーの特徴をまとめると、Li-ionかLiPoを使えば安くて軽いバッテリーが出来上がり、一方でLiFeを使うと安全性が高く高寿命なバッテリーが作れるということです。予算や目的に合わせてバッテリーを選ぶことが求められるでしょう。

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