前輪にハブモーターのE-Bikeキットを取り付けるには?
目次
・キットを購入する前に
・Qシリーズモーター寸法一覧(Q75,Q85,Q100,Q128)
・バッテリーを決める
・トルクアームを取り付ける
・キットが届いたら
・バッテリーとコントローラーの取り付け場所
E-Bikeキットの取り付けタイプは前輪、BB、後輪と大きく分けて3種類存在しますが、この記事では一番取り付けるのが容易な前輪取り付けタイプの取り付け方をご紹介します。
キットは色々なところから購入出来ますが、今回はBMS BATTERYから購入することを想定します。
キットを購入する前に
キットを購入する前に取り付ける自転車のフォークにモーターが収まるかを確認しましょう。
例として下のキットを購入して、ママチャリに装着する場合を考えます。
販売ページに寸法が乗っていない場合はgoogleの画像検索等を使って図面を入手しましょう。調べるとEcityPower社製のQシリーズモーターの図面が出てきましたのでQシリーズを検討中の方はこちらのPDFをご覧ください。
Qシリーズ(Q75,85,100,128)寸法一覧.pdf
Fork Sizeが83mm幅と記載されているのに注目して下さい。クロスバイク、ロードバイク、MTBといったスポーツ車の殆どはフロントフォークの幅が100mmなのですが、ママチャリは例外で85mmくらいの幅になっています。そこでその幅に合うモーターを選ぶ必要があります。Qシリーズでは唯一適合するのがQ85なのでそれを採用しました。
皆さんがスポーツ車に取り付ける場合は100mm幅のモーターを選びましょう。Q100がシリーズの中ではメジャーです。検索するとブログやyoutubeで色んなレビューや取り付け例が見つかります。せっかく電動化するのだから原付並みの動力性能が欲しいという方はQ11と言うモーターを使えば50km/hで巡行出来るくらいの性能を得られます。
そして取り付ける自転車のブレーキの種類にも注意が必要です。ディスクブレーキに対応するモーターはディスクローターを取り付ける分だけ、スポーク穴が空いているフランジがオフセットしていることが多いので、ホイールのリムがフォークの中心に来ません。その為リムブレーキの自転車にディスクブレーキ用モーターを取り付けると、ブレーキシューの調節が上手く出来ず片効きの状態になる可能性があります。
また最近では従来のクイックリリースに代わりスルーアクスルを採用したハブが登場していますが、現状ではスルーアクスル式のハブモーターは販売されていませんから、スルーアクスルを採用した自転車をE-Bike化したい方はBBに取り付けるタイプのキットを購入する必要があります。
さて、フォークの幅の他にもう一点注意すべき所があります。モーターの高さです。このモーターはスポーク穴が空いているフランジで測ると高さが120mmで、フランジを除くと108mmの高さになります。フォークの形状は前から見るとハの字になっているものと平行になっているものがあります。ママチャリやロードバイクのフォークはハの字になっている車種が大半なので、高さのあるモーターを付けようとするとモーターと干渉してしまう恐れがあります。モーターの寸法(ここでは83x108mm)の紙を用意して、実際にフォークに当てて干渉しないか確かめることをお勧めします。
干渉しないことが確認できたらキットを注文しましょう。
ホイールサイズとRPMを選択します。
Wheel Sizeの所に自分の自転車の車輪径を入力します。
MTBなら26 , 27.5 , 29inch、ロードやクロスバイクなら700c、ランドナーやママチャリなら650c(26 x 1 3/8)や27inchなどです。
次にRPMを選択します。このモデルは201か328の2種類が選べますが、スピード重視なら328,トルク重視なら201を選びましょう。急な坂を上らないなら328で問題ないと思います。
バッテリーを決める
バッテリーについてはこちらの記事の「バッテリー」の項をご覧下さい。
トルクアームを取り付ける
モーターをフォークの爪に挟んで動かすとモーターの逆回転方向にトルクがかかり、爪を広げようとする力が加わります。爪が広がってしまうとモーターの軸が空回りする恐れがありますし、何よりも前輪が脱落する危険性が生じます。それを防止する為の金具がトルクアームです。トルクアームは下の写真のようにフォークにホースクランプで固定して使います。
可能であれば低出力のモーターであっても取り付けるようにしましょう。私は500Wのモーターを前輪に取り付けたことがあるのですが、前輪を空転させるような激しい乗り方をした結果フォークの爪が広がってしまった経験があります。250Wクラスのモーターではどうなるかは分かりませんが付けておくに越したことはないでしょう。
販売されているサイズはM12とM14の二種類ですが大抵の機種にはM12が適合します。
キットが届いたら
トラブルが無ければ注文から2週間程度で届くと思います。組み立てに必要な工具、あると便利なものをご紹介します。
・六角レンチ
(E-ブレーキの取り付け、ブレーキの調整等に必要)
・スパナセット
(車輪の着脱に必要)
・-ドライバー
(トルクアームを締めるのに必要)
・インシュロック
(配線固定用)
・コルゲートチューブ
(バラの線だと見た目が悪いのでコルゲートの中に入れます)
・ビニールテープ
(防水を謳っているキットでもコネクタやコントローラーの中に水が浸入する可能性があるので怪しい所はビニールテープで養生します)
・コントローラー、バッテリーを収めるケース
(コントローラー・バッテリー一体型を買った場合は不要)
・圧着機
(コネクタを付け替える場合は必要)
・ワイヤーストリッパー
(コネクタを付け替える時に使用)
基本的に組み立ては前輪をハブモーターに交換して、トルクアームを装着し、コントローラーと各部を接続して、最後に配線を養生すれば完成します。
コントローラーとの接続について説明します。
Q85モーターのキットには「S06」コントローラー が付属します。「06」は内蔵するMOSFETの数を意味し、出力の高いコントローラーになるほど内蔵されるMOSFETの数も増えます。S06の配線は下の画像のようになっています。メーカーによって多少の差はあるかもしれませんが、機能的にはどの機種も同じです。
1.モーター動力線
モーターの動力線です。線が3本あるのは3相交流で動いているからです。A.B.C相と書かれていますがU.V.W相と同じ認識で問題ありません。コントローラーにインバーターが内蔵されていて、DC24Vを3相交流に変換しています。
2.コントローラー動力線
コントローラーの電源線です。バッテリーと接続します。バッテリーが付属しないキットを買った場合別途購入することになりますが、バッテリーのコネクタとコントローラーのコネクタが合わない場合があります。その場合は元のコネクタをカットして自分で付け替える必要があります。コネクタにはいろんな種類がありますが下のような汎用品で構いません。但し下のパッケージのようオスメス、片方のみしか入っていないのがあるので両方買うのを忘れないようにしましょう。
コネクタを買う際はどれくらいの電流を流せるかに注意して下さい。上のPDF-1.25は「 適合電線範囲:より線 2.0sq 」となっています。おおよそ1sq当たり10Aくらいが流せる電流の限度ですのでこのコネクタには20A位流せることが分かります。バッテリー電圧は24Vですから24×20=480Wまで使えますね。取り付けるモーターが250Wですから使用しても問題ないはずです。
3.操作パネル
ハンドルに取り付ける操作パネルに接続するコネクタです。ここでモータのON,OFFやアシスト強度を設定します。通常はそのまま接続しますが、この操作パネルが不要な場合はコネクタをカットして被覆を剥いて赤と青をハンダ付けし、そして黒と黄色もハンダ付けします。
4.スピードセンサー
Qシリーズモーターにはスピードセンサーが内蔵されています。このコネクタをモーターから伸びでいるコネクタに接続すると3.の操作パネルのメーターに速度が表示されます。
5.E-ブレーキセンサ
E-ブレーキに接続するコネクタです。E-ブレーキとはモーターのキルスイッチの機能を兼ねたブレーキレバーのことです。普通はモーターを回した状態でブレーキを掛けると、モーターは停止せずに引き摺って回ろうとしますが、E-ブレーキに交換するとモーター回転中でもブレーキを掛ければ停止します。実際のところコネクタを接続しなくても走れるのですが安全の為に横着せずに取り付けられることを推奨します。
取り付ける自転車のブレーキレバーがシフターと別個になっていれば直ぐに取り換えられるのですが、シフター一体型の場合は変速機能を諦めるかシフターを追加で購入する必要が生じます。
6.スロットル
スロットル用のコネクタです。ベル型とグリップ型があります。ハンドルに差し込んで装着します。自転車に既にグリップシフターが付いている場合はベル型を選んだ方が良いかもしれません。
7.PAS
PAS(ペダルアシストセンサー)です。BBに取り付けるのですが、取り付ける為にはペダルを外す必要があります。PASはクランクの動きを検知してモーターのアシストを開始し、クランクを止めるとアシストを停止する働きをします。但し国産の電動アシストのように漕ぎだした瞬間にアシストが始まることは出来ずコンマ数秒の遅れがあります。止まる時も同様にクランクを止めても少しの間はモーターが回り続けます。危険に思われるかもしれませんが、ブレーキを握ればE-ブレーキセンサが作動し直ちに止まるので安全上は問題ありません。
動作にタイムラグがあるのは磁力でクランクの動きを検知しているからです。黒い円盤に10個小さな磁石がくっ付いていますが、この磁石を銀色のセンサーで検知する仕組みになっています。そのためクランクを1/10回転以上動かさないと検知出来ません。国産の電動アシストはクランクに掛かるトルクを見ているので漕いだ瞬間に検知出来ます。
バッテリーとコントローラーの取り付け場所
一通り配線について紹介しましたが取説を見れば何となく組めると思います。センスが問われるのがバッテリーとコントローラーの取り付けです。
バッテリーについてはこちらの記事の「バッテリー」の項をご覧下さい。 通販サイトでは多種多様なバッテリーが販売されています。ボトル型や荷台型などを購入すれば比較的楽に自転車に取り付けることが出来ますが比較的高価ですし、全ての自転車に適合するわけでもありません。ここでは一番安価なシュリンクチューブに入っているタイプのバッテリーを購入した場合を考えます。
・サドルバッグ
容量の比較的小さいバッテリーであればコントローラーと一緒にサドルバッグに入れてしまう手があります。転倒した時のことを考えるとハードタイプのバッグが良いと思います。走行中にバッテリーがサドルバッグ内で暴れないようにクッションを入れましょう。副産物として重心が後ろ寄りになるのでハードブレーキング時にジャックナイフしにくくなります。
・フレームバッグ
サドルバッグよりも容量が多く、そして車体の中央に重量物を搭載するので理にかなっている方法です。欠点としてボトルケージと干渉する可能性があります。そして厚みのあるフレームバッグを選んでしまうとペダリングした際に内股が擦れてしまうかもしれません。
・カゴ
ママチャリもしくはカゴの付いたクロスバイクに取り付けるのであれば一番楽な方法がカゴにバッテリーとコントローラーを放り込んでしまうことです。ご覧の通り配線も最小限の距離で済みます。適当な箱をカゴにインシュロックなどで固定してその中に入れれば完了です。欠点としてほぼ全てのパーツがハンドルよりも前に存在するのでハンドルを切るのが重くなります。
コントローラーとバッテリーを取り付けることが出来たらコネクタ部分をビニールテープで養生して完成です。
feeldenkouさんの記事を参考にして、私もBMS BATTERYから同じQ85のKITを購入しました。
AliExpressで中国から物品を購入したことはあったのですが、BMS BATTERYでは追加金でVAT$20を取られることには驚きました。
何とか購入手続きまで進むことができたのですが、向こうからの問い合わせでリムサイズを聞かれ、現在使用しているETRO(37-590)と答えたのですが、26インチのリムサイズは「26″ Diameter: 569mm ERD: 529mm」しか選ぶことができないみたいで、それに合うETRTO規格ではどのタイヤを選べばいいのですかと問い合わせてもわかりませんと答えられました。
自転車についてはあまり詳しくなく、BMS BATTERYで記載されている「26″1.5-1.95」という数字を頼りに色々ネットでサイズの合うタイヤを探したのですが、ETRTO(40-559)で良いのか、ETRTO(40-571)で良いのか判断に迷っています。
申し訳ありませんが、feeldenkouさんはETRTO規格でどんなタイヤを装着されたのか教えてもらえないでしょうか。
よろしくお願いします。