PLCやHMI(タッチパネル)をバッテリーで駆動させる方法
FA機器の多くはAC200/100VそしてDC24Vで駆動します。ここではDC24Vで駆動するPLCまたはHMIを出来るだけ小型のバッテリーで駆動させる方法を紹介します。
バッテリー駆動を考える前にPLCやHMIの消費電力を調べましょう。
ここでは例としてオムロンのCP1E及びNBを挙げます。
・PLCの消費電力は20W以下
CP1Eのカタログページ
・HMIの消費電力は14W以下
NBのカタログページ
次にDC24Vの電圧を作り出すのに、どの方法なら実現できるか考えます。今回は大きさと重さの観点から鉛バッテリは候補から外しました。
1.電気工具用の24Vバッテリー
2.モバイルバッテリー
3.ジャンプスターター
4.ラジコン(ドローン)用バッテリー
1.電気工具用24Vバッテリー
メリット:
・変圧する必要がない。
・大電流が取れる。
・充電が早い。
デメリット:
・専用の充電器が必要。
・充電器とバッテリーだけ買うと割高。
・接点の形状が工具にはめ込むことを前提としているので、電線をつなぐことが困難。
接点の形状が特殊なので駆動用のバッテリーにするのは難しいです。
2.モバイルバッテリー
メリット:
・USB端ポートがあればどこでも充電できる。
・比較的安価。
・不要になっても使い道に困らない。
デメリット:
・普通のUSB給電では大電流が出力出来ない。一つのポートから3A程度が
限度。ただし、USB PD(Power Delivery)対応の機種であれば高出力の モデルも存在する。60W出力できる機種も販売されている。
大容量モバイルバッテリー 世界超速
・24Vに変圧する必要がある。
USB PDに対応する高出力の機種であれば駆動できます。
実際に私がUSB PD非対応のモバイルバッテリー(Anker PowerCore 20100)をDC-DC昇圧コンバーターを介して、HMIとPLCの複合機につなげてみたのですが、電源を入れた瞬間に過電流の保護機能が作動してしまい動作出来ませんでした。45W以上のUSB PD対応モデルを使用することを推奨します。
3.ジャンプスターター
メリット:
・大電流が流せる(瞬間的なら数百A)
・USBポートが大抵のモデルについているのでモバイルバッテリーとしても使える。
デメリット:
・同容量(Ah)のモバイルバッテリーより割高。
・機種によってはUSBから充電できずシガーソケット又は専用の充電器
で充電する。
・変圧(12→24V)する必要がある。
車のセルが回せるのでPLCくらい駆動できるはずだと予想しますが、
不安要素があります。車のバッテリーをジャンプする配線は専用のポートに接続するのですが、
そのポートから継続的に出力できるのか不明です。
もしもジャンパー線をつなぐポートが利用できない場合はUSBを使用することとなりますが、これはあくまでも「おまけ」で付いているものですから2A程度の出力のものが多いです。5×2=10Wの出力ではPLCを駆動することはおそらく無理だと思います。よって、
ジャンプスターターを使用するのはおすすめしません。
4.ラジコン(ドローン)用バッテリー
メリット:
・大電流が流せる。但し流せる電流(Cレート)は種類によって異なるので 注意。
・リチウムッテリーの発火が心配な場合はニッケル水素や、ニカドも選べる。
デメリット:
・変圧する必要がある。
・ラジコン用の充電器を別途購入する必要がある。
・安価なバッテリーの中には保護回路が内蔵されていないものもある。
・モバイルバッテリーほど大容量の機種が存在しない。
容量が少ないので長時間は厳しいですがPLCを駆動できます。
まとめ
・スマホやPCと共に利用したい場合は
USB PD対応のモバイルバッテリー(45W以上を推奨)。
・高出力(60Wを超える)が必要だけど駆動時間にこだわらない場合 はラジコン用バッテリーがおすすめです。